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いくつもの締め切りを抱えながらお客さまの日。あらかたとりあえずは準備しておいて、それ以上はやらないことに決める。そうでないと切りがないからだ。今日はお昼過ぎまで仕事をして、一旦、買出しに。魚介類と、お酒のグラスだ。
昨日お酒を買ってきたはいいが、お猪口がない。食器は切りがないので、とにかくあるものですまそう、と念じて、ここまできた。今日も、グラスでごめんね、かな、と思っていたら、夫が、何か見繕ってきたらいいんじゃないか、と言う。おお、夫に言われるなら、お墨付きである。グラスを買いに走っても常識が許してくれる!という訳で、時間にあせりながらも、Quaker Bridge MallのMacy'sに車を飛ばした。 Macy'sは大衆向けの百貨店である。衣類は本当に買うものがない。ただであげるといわれても、困るものばかりだ。ところが、食器売り場に関しては、目がらんらんとするほどではないにしても、えっ、これまあまあ好くない?というものが置いてあったりする。自分は、服よりは食器へのコダワリが強いと思うのだが、どうして、Macy'sで洋服は全没で、食器はまあまあということになるのだろう?基本的には、日本人は、平均して、食器にこだわらず、洋服に異常に関心が高く、逆にアメリカ人は相対的に、食器の方に関心が高いからなのだろう。消費を左右する大きな要素は顕示性である。人を自宅に呼ぶ習慣のない日本人にとっては、食器は非顕示的アイテムだが、パーティ好きのアメリカ人にとっては、顕示的アイテムなのである。 Macy'sにお猪口は期待していなかったが、リキュールグラスならあるはず、どれか適当なものを選ぶつもりだった。そうしたら、なかなかにデザインで勝負しているんですね、リキュールグラスは。考えてみれば、オードブルや食後酒をちょっと、とオシャレに飲むものである。なるほど、見せ場アイテムだったのか。私が迷ったのは、(1)クリスタルの足つきグラス、(2)ケートスペードの足なし、(3)Mikasaの足なし。(1)は口当たりがよく、(2)はデザインが面白く、(3)は、モダン系でオシャレ、だった。(1)は足つきばかりじゃ面白くないし高いのでバツ、(2)は他の食器との相性が悪いのでバツ、ということで、(3)に。 迷っているうちに、今まで、ずっと抑えていた食器フェチが蘇ってきた。不思議なことに、フェチがらみの買い物は迷っているうちにめちゃくちゃ頭が回りだして、気分が高揚し、身体まで軽くなってくるのである。おそろしい。ドーパミンが排出されているに違いない。グラスだけのつもりだったが、ふとみると、塗りのお盆がわりに使えそうなぬめっとした黒の四角い皿がセールに。値段は高くないのだが、モノを増やしたくない、というポリシーを曲げてもいいのかどうか、迷った。帰るとき、思い出にといって、プレゼントできるか、が最近、モノを買うときの新しい基準として登場した。それに照らすと二重丸である。お買い上げ。 トランク2つで来るために随分と痩せ我慢をした。これがなければならない、というコダワリを全部捨てて、仕事だけを持ってきたかったからだ。でも、途中で2アイテムだけ泣きが入った。一つが、むっちりした煮干、もう一つが本塗りの御椀だったのである。これは実家の母にお願いして従姉妹に持ってきてもらった。私はそんなに味噌汁にこだわる人間ではないのだが、両方とも味噌汁がらみだったことに、自分の味のルーツを身にしみて感じたものだった。陶器の御椀で味噌汁を飲んでも全然味がしないのである。塗りの御椀、しかも、厚くぼってりとした形で、塗りが深いもの。 考えてみたら、結婚したとき、唯一買い揃えたのが、漆器一式だった。お金がない中で、思い切って、10組を揃いで買った。そうか、自分には漆器に思い入れがあるんだと、今回気がついた。御椀や箸は直接口に触れるから、かなり料理のテクスチャーを決めてしまうからというテクニカルな理由に加えて、家族の文化的な要素も強いのだろうと思う。今は故人となったのだが、私をとても可愛がってくれた母方の叔父さんが、儀式しきたりをとても大切にする人だった。お正月やお祭りのときには、輪島塗のお膳を子供たちの分までずらりと並べてくれたものだった。 母方の家族は戦争で全てを失ってしまった類で、おば達が集まると焼失した思い出のひな壇の話など本当に悔しそうにしているのだが、叔父は黙々と、せめて、失った過去のフレームだけでも取り戻そうかとするように、輪島塗の里に行き、紋の入ったお膳を注文してきた。当時相当若かったはずである。そういえば、結婚を控えた私の漆器お誂えツアーガイドを買ってでてくれたのも叔父であった。 塗りのお盆がわりの、黒漆のお皿に、パロマピカソの扇のモチーフのクリスタルのお皿、御椀、お箸を並べたら、自分の気持ちの中に、ようやくお正月が巡ってきた。夫にもすかさず、おっ、調子がでてきたね、と指摘された。漆器が私のセイフティ・ブランケットだったとは。人間の精神とは不思議な構造をしているものだと思った。 DiMaggio家は食道楽で、次男のウイリアム君が日本語を習っていることもあって、日本食に相当興味を持っている。一度、ダシの取り方の講習会をしてくれと頼まれたのだが、塗りの御椀がないとお味噌汁は作らない、といって断り、夏、日本に帰ったとき、6客用意してプレゼントした。料理は文化なのだから、コダワリの姿勢を貫くのも大切じゃないかと思ったわけである。ウイリアム君は料理が大好きというので、今日は、料理をしかかり品で止めておいて、料理をするところを見せて説明してあげた。 ひょっとしたらいつか、ウイリアム君が、将来ジャパノロジストになったりして、ああ、あの人、漆器がないと味噌汁を作らないっていってたなあ、なんて思い出すなんていうことがあるかもしれない。死んでも、自分の気持ちがほんのちょっぴりモノの周りに残っているっていうのもいいなあと思う。 今日のメニュー (1)豆腐と枝豆、タプナードとFleur de sel和え、イクラのせ (2)レンコンとスノーピーの白胡麻ドレッシング和え (3)ツナステーキ、鞘インゲンのつけあわせ (4)富山風お雑煮 (5)安倍川餅 *お酒:秋田誉、冬雪花 Carolが、ジンジャーブレッドのタルトを焼いてきてくれた。マーサ・スチュワードのレシピで作ったのよ、というところから、マーサ談義に。さすが現地だと、マーサを直接知っている人がまわりに大勢いるらしく、最低最悪の性格の悪さらしい。でも、レシピはいいわよね、と女性軍。マーサは他の男たちからみればたいした罪じゃないのに重い罰を課せられたということで、女性から反動的な支持を得るようになったらしい。入獄した後は、自分のキャラをギャグにつかうという手で 盛り返したということ。
by tigress-yuko
| 2006-01-03 00:00
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